有備館

有備館冬季展
「武芸百般 〜武芸帖に見る武士の本分〜」 

有備館全景

開催 平成19(2007)年12月1日(土)〜
               平成20年3月24日(月)

会場 有備館
    〒989-6433宮城県大崎市岩出山上川原町6
    TEL.0229-72-1344


 有備館は岩出山伊達家三代敏親が、元禄4年(1691)に家臣の子弟教育のために開設した学問所です。寄棟茅葺書院造りの簡素な建物が、当時の学問所の姿を伝えています。樹齢300年以上の大樹が立ち並ぶ庭園は、正徳5年(1715年)仙台藩茶道頭石州流三代清水道竿作庭の回遊式池泉庭園で、建物と共に国の史跡名勝に指定されています。
 伊達敏親は江戸で田中勘兵衛に会い、宝蔵院流の伝授を受け、その後田中を招聘して家中にも広め、以後代々領主の御流儀になり、四代公は父から宝蔵院流の伝授を受け、さらに家臣を宝蔵院に派遣しました。

有備館館内
奥の展示は、仙台藩主の正月膳模型

宝蔵院流槍術 展示  

正保2年 胤舜より田中次郎兵衛穣尉宛相伝書及び目録(写)
  
田中次郎兵衛は、後に岩出山伊達家当主に宝蔵院流を伝授した田中勘兵衛正綱  のことと思われる。



毎日新聞 2007年12月13日 宮城

展示:武芸の極意書発見 
江戸期の槍術「宝蔵院流」 −大崎・岩出山 /宮城−

◇伊達家にも伝授
 大崎市岩出山で江戸期を代表する槍術(そうじゅつ)「宝蔵院(ほうぞういん)流」の相伝の極意書が見つかった。岩出山の旧学問所・有備館で開かれている「武士の本分を見る武芸帖(ぶげいちょう)展」(同市教委主催)で展示されている。【小原博人】

 極意書は、江戸前期の1645年、宝蔵院流の鎌十文字槍術の二代目相伝者「胤舜」が弟子の田中次郎兵衛尉に伝えたもの。同流の武芸の基本の考えを記している。「文武の道は車の両輪の如(ごと)し」と、現代につながる文武両道の価値を説き、「極めた者は事に当たって不安のない心でいられる」という内容だ。
 田中の出身地は不明だが、江戸で出会った岩出山伊達家の三代目当主宗親に槍術を伝授し、同流は19世紀初めまで岩出山家中の一般的な武芸の地位を保った。
 宝蔵院は奈良の興福寺の子院。戦国〜江戸初頭に活躍した同院の僧「胤栄(いんえい)」が、池の水面の月を突いて槍術を工夫したとされる。柳生新陰流剣術と並び隆盛を極めた武術で、宮本武蔵の敵役で多く登場するのも有名だ。
 菊地優子同市教委岩出山町史編さん専門員は「町史編さんの過程で旧家に伝わる武芸書が数多く見つかった。(宮本武蔵とも戦った)宝蔵院流の極意は、武芸の心を伝える価値のあるもの」と指摘する。
 武芸帖展では他に、剣術、馬術、近代以前の砲術などの秘伝書約80点が展示されている。来年3月24日まで。連絡は旧有備館(電話0229-72-1344)へ。



ブログ     07.12.14

2007.12.29